ピクトグラムからみる「デザイン」の重要性。
デザイン経営・デザイン思考に通じるユーザー目線の基本

東京2020オリンピック大会の観戦チケット抽選申込が終了しましたね。

両親を誘って観戦に行こうかと思っていたら、

地方にいる現役をリタイヤした両親には夏の東京をウロウロするのは体力的に厳しい・・・と

丁寧にお断りされてしまいました(笑)。

そんなわけで個人的には様々な競技をテレビでしっかり観戦しようと思っています。

 

オリンピック・パラリンピックでは選手ひとりひとりの活躍はもちろんですが、

様々なシーンで“デザイン”も活躍しています。

 

そのデザインのひとつとして、「ピクトグラム」があります。

「ピクトグラム」というデザイン、東京2020オリンピック・パラリンピックを機に始めて名前を知った方もいらっしゃるのではないかな?と思います。

 

3月にオリンピック、4月にパラリンピックの「スポーツピクトグラム」が発表されましたが、

単純な形の組み合わせの中に選手の躍動感が感じられるこのデザインを見て、

大会への期待感がより膨らんだ方も多いのではないでしょうか。

 

そんな「ピクトグラム」ですが、

オリンピックだけではなく私たちの生活の中で必要不可欠なデザインのひとつなのです。

すぐに思いつくものはトイレや非常口のマークではないでしょうか。

誰しも一度は目にしたことのあるピクトグラムかと思います。

トイレと非常口のビクトグラムの図。

 

今回は多くの人が利用する商業施設内で、どのようなピクトグラムが使われ、

私たちはそのデザインのおかげで言語だけに制約されず、

内容の伝達を直感的に行えているかを調べてみたいと思います。

 

弊社オフィスの近くにある「表参道ヒルズ」にてピクトグラムを探してみました。

まずは案内系のピクトグラム。

表参道ヒルズで使用されている、キャッシュコーナー、禁煙スペース、上りのエスカレーター、エレベーターのピクトグラムのサインの写真。

矢印の方向に、キャッシュコーナー、喫煙スペース、上りのエスカレーター、エレベーターがあることが、

文字が無くともピクトグラムのサインだけでわかります。

表参道ヒルズで使用されている、男女のトイレ、コインロッカー、授乳室、おむつ交換台のピクトグラムのサインの写真。

男女のトイレ、コインロッカー、授乳室、おむつ交換台。

表参道ヒルズで使用されている、カフェ(休憩所)、インフォメーションのピクトグラムのサインの写真。

カフェ(休憩所)やインフォメーションがあることもわかります。

 


 

そして注意喚起のピクトグラム。

表参道ヒルズで使用されている、禁煙、火気厳禁のピクトグラムのサインの写真。

やはり多くの人が利用する商業施設ですから、火のつくものは厳禁ですね。

表参道ヒルズで使用されている、ペットはキャリーバックに入れて入店してください、のピクトグラムのサインの写真。
表参道ヒルズで使用されている、自動ドアに指はさみ込み注意のピクトグラムのサインの写真。
表参道ヒルズで使用されている、エスカレーターでのベビーカー使用禁止のピクトグラムのサインの写真。

表参道ヒルズのピクトグラムはJIS規格(日本工業規格)のピクトグラムを使用していました。

(一部アレンジしているものもあります)

このJIS規格のピクトグラムは使われている場所が多いので、

オーソドックスではありますが見慣れたサインで、とてもわかりやすいです。

ちなみに、ISO規格(国際標準化機構)やAIGAタイプというピクトグラムもあります。

そのご紹介はまたの機会に。

 


 

では、他の商業施設ではどうでしょうか。

新宿駅ビルのNEWoManで、ピクトグラムを探してみました。

NEWoManで使用されている、新宿駅改札の方向、エレベーター、エスカレーター、案内所のピクトグラムのサインの写真。
NEWoManで使用されている、エスカレーターに乗る際の注意や禁止のピクトグラムのサインの写真。

ラインで図形を構成したオリジナルのピクトグラムを使用していました。

ピクトグラムのデザインも商業施設のブランディングの1つとして位置付けているのだと思います。

JIS規格のものより軽やかな印象のサインになっているかと思います。

 

その他、伊勢丹や高島屋等の百貨店、GINZA SIXや東京ミッドタウン日比谷などもチェックしてみましたが、

多少のアレンジは加えられているもののJIS規格のピクトグラムの使用がほとんどでした。

 

 


〈まとめ〉


実は私たちの生活には欠かせない“デザイン”である「ピクトグラム」。

ピクトグラムの案内があることで、

迷わずに目的の場所にたどり着くことができ、事故などの危険予知にも繋がっていることがわかります。

まだまだ日本では“デザイン”を見た目の美しさだけを表現することのように捉えられている傾向がありますが、

ピクトグラムを始め“デザイン”にはユーザーエクスペリエンスが包括されています。

“デザイン”は、見た目が美しいということだけではなく、

使いやすさやわかりやすさなど、ユーザーが商品やサービスに触れ、

ユーザー自身が感じる全てのことが含まれていなければなりません。

結果、それがビジネスの根幹につながっているのです。

 

昨今、「デザイン経営」「デザイン思考」という言葉を見聞きすることが多くなってきました。

これこそ、デザインが見た目の美しさだけのものではない、ということです。

 

これからのビジネスに大切なことのひとつに、

この「デザイン経営」「デザイン思考」の考え方は欠かせないものとなっていきます。

“デザイン”の視点からブランディングの構築を図り、自社の価値を上げていくことは

今後どの企業にも求められるテーマと言えるでしょう。